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夜を抱いてゆるやかに僕は消える
 スマートフォンの点滅が、メールの受信を伝えている。ほくそ笑み、慣れた動きでタップを繰り返すと、かわいらしい文面に日時と場所そして地図が表示された。なるほど、合コンとやらはこの店でやるらしい。このあたりは繁華街で風俗店も多いため、そういった類を目的にやってくる人間も少なからずいるということ。
 自分は生きて動く人間にさほど興味はないので、ハニートラップに引っかかることはないと断言できる。合コンといっても大したことをするわけではなく、男女比は合わなくてもかまわないという。
 弟には断られたと聞く。残念です、なんて文面が届いたけれど、その原因はおそらく自分にあるのだと自覚している。知られてもいいかと思っていながら、ひた隠しにしていたことの反動。連絡も前ほど頻繁にしなくなり、週に数回のやりとりが続くだけ。しかも内容は、大半が母からの伝言だ。
「隠してきたことの罰、かな」
 公言するような性癖なんかじゃない、受け入れろといっても難しいに決まっているもの。彼に受け入れてほしかったのかと聞かれれば、そうではないと答えられる。むしろ、受け入れられでもしたらそれこそ彼の内面を気にかけてしまうだろう。
 自分は、この性癖を恥だとも思わないし、コンプレックスも抱いていない。学生時代はずいぶんと悩んだものだが、やめろといわれてやめられるくらいならとっくにやめていると癇癪を起こしたこともある。ヘビースモーカーや薬物患者と同じ、対象が睡眠姿だった、それだけだ。
 調べれば、同じような性癖に悩む人がネットの向こう側にいた。自分だけではない、その事実は心が軽くなったものだ。けして許されることでもなければ、許されてはいけないことだと認識している。だから、弟に避けられたところで、それは人間として「当たり前」の感情であり、嫌悪であり、致し方ないことだ。
「ソムノフィリア……」
 自分の性癖の名前をつぶやく。睡眠および気絶した姿に性的興奮を抱く人間の通称。
「うん、でも事実だ」
 耳慣れない言葉を再度繰り返す。確かめるように、身に刻みつけるように、深く息を吸って。足元はほのかに月明かりが照らしている。見あげれば、きれいな半月。二面性をあわせもつ自らのようだと、笑って画面をタップした。宛先は、知り合ったばかりの彼女。
 メールの文面は完璧だ。コツン、顎にスマートフォンをあてて、くちびるが弧を描く。片目にかかる赤いメッシュが、妖しくきらめいた。
Twitterでの創作うちよそ:「それが僕らの愛だから」より。お題はcapriccio様から。
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Author:空野海
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生誕:2月14日

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