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恋する五題そのさん
お題はcapriccio様より。恋って摩訶不思議。
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01.耳元に吐息
アレクシス。問いかけられる名前に耳を傾ければ、もぞりとシーツが揺らぐ。するとむすっとした顔が覗くものだから、思わず小さく吹きだしてしまった。どうしたの、かわいいことをするね。指先であたたかい頬をたどれば、ターコイズがそっと閉じられる。かすかな吐息をもらして、彼は甘やかに、再度名前を呼ぶ。甘えたいの、問いかけに返答はない。再び開かれて光をとりこんだ瞳はいっそう美しく、まるで宇宙がきらめいているようだと思った。きれいだよ。飽きるほどあびせる決まり文句も、ふりかける睦言も、彼は一字一句必ず享受してくれる。あまりに純粋な様に、こちらが振り回されることだって幾度もあって。身を起こし、倒れこむように落ちてくる身体を受けとめれば、耳元でささやかれる愛がある。
02.内緒話
内緒だよ。ほっそりとした指がくちびるを彩る。その指が自分のくちびるにもあてられて、反射的に一歩後ずさった。「先生、どうしたの」カーマインに濃い色が浮かんだように見えたからか、それとも大人顔負けの笑みをべったりとはりつけたからか、こういった瞬間に少年に抱く感情は漠然とした恐怖だ。じわじわと追いつめられていく感覚。これが恋などという不確かなものだとしたら、なんて厄介なんだと思わずにはいられない。内緒だよ、繰り返される呪縛。負けたらいけない、自分は強く立っていなければならない。かぶりを振って、シェリルはその場から逃げるように立ち去った。
03.昨日のおやすみ
おやすみなさい、おじさま。そう挨拶されたのは数時間も前のことだ。目頭を軽くもんで、天井をあおぐ。やはり長時間、本に目を通すことは控えたほうがよさそうだ。思い返せば自分もいつのまにか歳をとり、体力も衰えている。無理は禁物だと、耳にたこができるくらい姪にも叱られているが、その忠告をきちんと受けとめる日がきているのかもしれない。座りっぱなしだった身体をぐぐっと伸ばす。全身に血がめぐっていく感覚があって、心地よさに大きくため息を吐いた。部屋の片隅で、姪はソファに横たわっている。自分が愛用しているひざ掛けを奪い取って、気持ちよさそうに夢のなかだ。おやすみ、遅い返答をつぶやいて、文平も眠るため立ちあがった。
04.結婚しようか?
そんなことできないよ。最初に口を割って出た言葉は、残酷だったろうなと思う。そうだよね。彼は傷ついた素振りを見せずに笑うものだから、自分はなにも言うことができないまま、日は過ぎてしまった。何事もなかったように接してくれるのはありがたいけれど、心のどこかで告白に後悔している自分もいて、どうして素直に頷けなかったのだろうと幾度も自分を責めた。できないことなど、彼だってわかっているのだ。それなのに、自分は一方的に否定した。想えば想うほどうまくいかなくて、恋は摩訶不思議。つかまえて、もう一度、あの日のやりなおしをさせてほしい。驚いて絶句する彼に、僕は微笑んだ。
05.耳元に睦言
彼はよく、名前を呼ぶ。愛称で呼んでくれてもいいのにと言ったら、いやだと断られたことは記憶に新しい。彼に呼ばれることは嫌いでないし、むしろ好きなほうだ。呼ばれるならなんだっていいのだが、頑なに愛称を口にしない彼に理由を問いただしたことがある。そのときも渋ってけして口を割らなかったくせに、ベッドのなかではすんなりこぼすのだからずるいのだ。好きだと幾度となく繰り返される告白、愛しているとささやかれる耽美な鎖。僕もだよ。周りに聞かれないほど小さく、かすかな吐息とともに。
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Author:空野海
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生誕:2月14日

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