FC2ブログ
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
小話
ついったのほうで募集したネタを小話で。
... Read more ▼
【好きで、すきで、】


「ねえ、そろそろ忘れてもいいんじゃないの?」
 隣で溜息を吐きながら言う友人に、少女は曖昧な返事を返しただけだった。
「もうさ、忘れたほうがいいんじゃないの」
 それができるのならとっくにそうしているよと、小さくつぶやく声がする。
「そのまま覚えていたって、あんたが傷つくだけだよ」
 傷ついたのは昔だから今は傷ついているわけじゃないのと、苦笑が返ってくる。
「……それでも好きなの?」
 もう、あんたの傍にはいない男なのに。
 いいの、それでも。それでも、いいの。
「――忘れられないの」
 だからずっと、追いつづけているの。
遠くて、遠くて、もう届かないかもしれないけれど。
「捨てられないの」
 笑顔も、思い出も、この気持ちも、なにもかも。
「いつか捨てられるときまで、ずっと想いつづけるよ」



【みかんとこたつと兄弟と】


「兄ちゃん、そこの蜜柑とって」
「あいよ」
 炬燵に入りながら寝転がる弟に、兄はかごの中にこんもりと山盛りになっている蜜柑をふたつほど手にとり、弟へと軽く投げ渡した。
「投げないでよ、とれなかったらどうするのさ」
「投げただけでつぶれる蜜柑があるならそいつは食わねえほうがいいな」
「そういう問題じゃないでしょ」
 よっこらせと腰をあげた弟に、寝転んでるからだと笑う。そしておもむろにリモコンでテレビをつけ、番組表を見はじめる。
「今日は休みだから面白いのやってないよ」
「知ってる」
「じゃあなんでつけるのさ」
「ほかにやることがないから」
「……ああ、そう」
 爪の間が黄色くなりながら蜜柑の皮をむく弟と、頬杖をつきあくびをして番組表を見る兄。
「俺も蜜柑食うわ」



【愛ゆえに、そなたを罰しよう】


 ごおっと風の吹き荒れる中、男はひとつの剣(つるぎ)を携えていた。じゃらじゃらと装飾品の重たい音が鳴り響き、風にはためく衣のすれる音。背の中ほどまでのばされた真っ直ぐな黒髪は空を舞っていた。
「私を、愛しているんじゃなかったの?」
 艶めいた女の声。どこか楽しげに聞こえる声音は、鈴の音のように軽やかで。
「愛しているさ、今でも」
 憂いを帯びる男の声に、女は満足したかのように微笑んだ。ゆるりと弧を描く唇が、鮮やかな赤に染まっている。
「愛しているのに、私を殺そうとするのね」
「そうだ。……愛しているから、そなたに刃を向けるのだ」
 苦しそうに吐きだされた言葉を女は真っ向から受けとめ、そして―――
「殺せるものなら、殺してみなさい」
 悠然と、かつ優雅に、微笑む。



【アラブの夕焼け】


 昼夜の寒暖の差が激しい砂漠に、神々しい夕日があたりを照らしていた。
「知っていて?」
「なにをだい」
 日が落ちてきている砂漠を歩きながら、少女は口元の布を少しさげて隣を歩く青年に呼びかける。
「この砂漠から見る夕日は、世界でも指折りに入るほどきれいなんですって」
 嬉々として話す少女に青年は小さく吹きだす。なぜ笑われたのかわからない彼女は首をかしげ、吹きだされたことにほんのりと頬を染めた。
「ど、どうして笑うの!」
「いや、だって君がそこまで嬉しそうに話すとは思わなかったから。いつもはきれいなものなんて、とか言っているのに」
「きれいなものはずっときれいなわけじゃないもの。でも夕日はずっときれいなままよ、だから私は好き」
 布に隠されていない顔がほころび、陽だまりのように微笑む。
「僕は君のほうがきれいだと思うけどね」
 頬に小さく口づけをすれば、あわてふためく少女が見れる。
「な、なっ……!」
「僕みたいな男につかまっちゃった君が悪いんだよ」
 意味がわからないわと叫ぶ少女の声を聞きながら、青年は上機嫌で再び歩みはじめる。その後ろをついてくる彼女に笑みしかこぼれない口元を必死に手で隠し、先を急ぐ。
「でも本当に、君はきれいなんだよ」
 どうしようもないほど清らかで、穢れてなくて。
 罪に染まってしまっている僕なんかとは対照的に、君はどこまでもきれいだ。



【拒絶したわけじゃないのよ】


 いつも彼の周りには決まって女子生徒が群がっていた。集まっているのではない、群がっているのだ。
「今日はどこへ行く?」
 軽快な声音でその場にいる女子生徒に呼びかけると、あちらこちらから声があがる。ああいう人のことを一般的には女たらしと呼ぶらしいが、彼は男子生徒からも女子生徒からも人気があって、自分みたいな平凡な人間は近づくことさえ許されていないのだと思い知らされる。
 彼の友人はどこか派手な人が多い。男も女も関係なく。といっても不良という部類の人たちではなく、クラスで目立っている生徒、といったほうがわかりやすいかもしれない。
 そんな人気の彼を、自分はどうやら好きになってしまったらしい。厄介なことに。
(長く話したことないのにね……話したのは一度だけ、しかも一言)
 その日は友人と掃除当番を交代して、両手に大量のごみ袋を持ちながら階段をおりていた。バランスはとりにくいし間違って足を踏み外しそうだったから、下からのぼってきた彼が「半分持とうか」と言ってきてくれたのだ。
 いつも遠目で見ていただけだった人物に声をかけられて驚き、半ばパニック状態でなんとか平静を装うので大変だった。そんな状態で口走ってしまった言葉を思い返すと、穴に入りたいほど恥ずかしい。
『結構です』
 パニックだったこともあり、強気で言ってしまったから相手からすれば拒否されたように聞こえたはずだ。言ったあとでそのことに気づいて、せっかく装っていた平静な顔が真っ赤に染まっていく気がして、転がるように階段を駆けおりた。
 たぶん彼はそんな女子生徒のことなど覚えていないだろうけれど。
(あの時点で根付く印象は最悪ね)
 思わず溜息がもれる。途端、彼と目があったような気がして、赤くなる前に思いきり身体ごと目をそらした。間違いなく気のせいだ。彼がこっちを見るはずがない。
 だから大丈夫だと身体を戻したとき、聞きなれた声が小さく「あ」とつぶやいた。
 驚愕してばっと上を見あげれば、先ほどまで離れた場所にいたはずの彼が目の前にいる。
「思いきり拒絶の反応をされたから、気になって」
 さわやかに笑ってみせる彼。言葉にならない少女。
 その後、校内であわただしい追いかけっこが繰り広げられるなど、その場にいた誰もが思っていなかった。



半年ほど家出していた書ける期が帰宅しましたので、リハビリもかねてついったーにてネタを募集しました。
消化しきれていないネタがあるような気しかしないのですが、なかなか書かないネタもあってリハビリになりまくりでした←
ネタをくださった皆様、ありがとうございました!
Secret
(非公開コメント受付中)

こたつにみかん、他とくらべると全力でまったりしてて和みましたwww 「今日は休みだから面白いのやってないよ」にめちゃくちゃ親近感! 休日のたびにチャンネルいじりながら言うコレ!

ファンタジー好きとしては【愛ゆえに、そなたを罰しよう】が気になるところです。
卯月さんとツボったお話がモロ被りしている件wwwww
兄と弟、のほほんとしててなんだかぬくぬくでものっすごい和みましたーv かわいいなこの兄弟……!

悠然と微笑む女のひとにぞくぞくしつつ、アラブのお嬢さんの可愛らしさに彼と一緒ににやにやしつつ、ラストの可愛過ぎるラブコメにじたばたしました。二人の行方が気になる! 慌ただしい追いかけっこ!(`▽`vvv
たっぷりの小話集、ごちそうさまでした!
卯月さん
そうなんですww 書きおわったあとに「あれこれだけ全力でのほほ~んとしてるww」と笑ってしまったとかw
休日のたびにとか同じです仲間です! 結構自分の本音ぶちまけさせたので、わかってくれる人がいると信じてましたw
そのお話は作りすぎちゃったのでそのうち短編として公開しようかと思ってます^^*




炬燵という画期的なものがない我が家にはこんなのほほん兄弟が憧れで…!
そこだけ全力でのほほんしてますww
ラブコメってあまり書いたことないなーと思っていたら意外と話をつくりすぎて、途中で急遽進路変更をしたなど…!
いつかまたこのラブコメの続きでも書こうかなあなんて思ってたり(*ノノ)
校内の生徒たちを巻きこんだりしつつ、あわただしい追いかけっこは始まりますwww
ごちそうさまとのこと、ありがとうございました!//
拒絶→アラブ→罪、と話が続いてたらいいなぁ、なんて思ったりしましたけど、どうやったら日本の学生がアラブでいちゃついて、果てはゴツい剣を振り回すはめになるのかとwww

アラブの二人もかわいいし、罪の続き、というか前史も気になりますけど、私としては学校内を全力で追いかけっこがすごく気になりました!

こたつの話は、全体のバランスをとるようにほのぼのですねwww
Re: タイトルなし
ミズマ。さん
その流れいいなあ、なんてミズマ。さんのコメント見て思いましたがそのあとの日本の学生が~のくだりから盛大に吹きましたwww
確かにどうやったら剣を振り回すのに至るのかとwww

アラブの資料がなかったものでネットでひたすら検索してました←
罪の話は前史もきちんと考えてしまったので(笑)、お披露目する機会があったら公開しようと思います!
全力で追いかけっこします、周りをも巻きこんだどたばたラブコメディみたいになる……と、思ってます((
炬燵だけがほのぼの一直線ですよねww
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
コメ返ツアー
もうすぐ年末ということで、
年内最後のコメントにやってきたよ∀`*)♪

最後の話が好き!
こういう2人って居るよね~w
追いかけっこの果てにはALICE的には屋上に着いて
沈黙の後の…とかいいなぁω・`)
Re: コメ返ツアー
ALICE
そうか、もう年末か……一年間ありがとうございますた(土下座

最後が好きとかよかったお、らぶらぶが苦手な自分としてはものすごく嬉しい!
最終的な到着は屋上の予定ですよw
なんだかんだストーリーはしっかり考えてて、書こうと思えば書けるんだけどそんな意欲がないというry
更新履歴


ようこそお越しくださいました (06/07)

朽葉の優等、黒檀と黒紅の交錯 (12/09)

黒檀の疑惑、朽葉の告白 (10/20)

朽葉が堕ちる、真白の行方 (10/18)

夢を見続けるこども (09/25)

プロフィール

空野海

Author:空野海
since:2009.3.21
生誕:2月14日

創作倉庫を兼ねる個人ブログサイト。
無断転載禁止。

最新記事
最新コメント
カテゴリ
アネモネの花びら様方
リンク
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

ブロ友なってやんよ☆

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。