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僕は、君に戀をしました。
ひそやかに、まことしやかに育まれる恋心でした。

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その唇から紡がれる嘘は蜜のように甘い
 先生はいつもうそばっかりだ。唇をとがらせ、子供らしく拗ねてみせる彼を一瞥して、無駄口をたたくなら集中しなさいと諭す。手持ち無沙汰なのか、羽ペンがくるくると少年の指先で踊った。
「私がダリル様に教えることで、うそをついたことなど一度もございませんわ」
「そうだね、教えてもらうことはね。知識量だとか、教鞭を振るうだとか、そういう面にかんして先生はとっても優秀だと思っているよ。実際、僕の知識の大半は先生から教わったことだからね。これでも、社交界へ行くと優秀だと褒められるんだ。先生のおかげだね」
「社交界で一目置かれるのはよいことです。ダリル様が成人したときにも、その誉れは無駄にはなりませんわよ」
「無駄にはしないさ。必ず、僕の糧にしてみせる」
 にっこりと笑み、ペンを滑らせる姿を眼下にとらえる。優秀な生徒、どこまでも貪欲に、知識を求める少年。好ましい姿であるが、シェリルからしたら少年が日に日に大人へ近づいていって、恐怖さえ覚える。
 シェリルには、貴族というもののありかたが理解できない。見栄や建前、崩れ去ってしまうプライドなど取るに足らないものではないか。シェリルにもプライドは存在するものの、なにかを犠牲にしてまで守るべきものだとは思っていない。たとえば、自分のお仕えするご主人のためならば、プライドくらいかなぐり捨ててもいいとさえ思っている。
「ダリル様が糧になさるのなら、私ももっと知識を増やさなければなりませんね」
「そして僕に余すことなくちょうだい。先生からもらえるものは、すべて吸収しようと思っているんだ」
「ええ、私にできることならば喜んで」
「じゃあその勢いで僕のレディになってよ」
「それはお断りしますわ」
 ばっさりと一刀両断。ふふ、と微笑んで有無を言わさず。先生のずるいところは嫌いだな、なんてうそぶくから、好かれようとも思っていませんわと笑いかけた。
「いいよ、そのうち隣に並べてみせるから」
「期待しておりますわ」
 うそばっかり。そういっておいて、隣には並んでくれないのだと幼いダリルは知っている。それでも、手に入れてみせるとかたく心に誓って。
 女はうそを重ねるものです。そうつぶやいたのは、はたして誰だったか。
お題は螺旋の見る夢様より。
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Author:空野海
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生誕:2月14日

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